京都競馬場 100th ANNIVERSARY

まだ100年。

もう100年。

100年も。

100年しか。

たとえば今年のダービー馬、

クロワデュノールの血統を百年前まで遡れば、

父・キタサンブラック、曽祖父・サンデーサイレンスを経由して、

九代前、1920年代にイギリスで活躍したファロスという名馬に辿り着く。

その百年の、世界中の競馬場で繰り広げられた馬と人間の物語を想像する。

この先の、淀を舞台とした百年の物語を夢想する。

“平和”という大前提がある限り、彼らの血は、物語は継承されていくだろう。

数百年先も、千年先に至るまで……。

その、まだ、たった100年が過ぎ去っただけにすぎない。

ひとまずは次の百年に向けてーー。

京都競馬場の長い、長い物語は、いま幕を開けたばかりだ。

文 早見和真
100ANNIVERSARY 京都競馬場